公募研究:令和4年度学術変革領域研究(A)

花器官ジオラマ環境の理解による花粉管細胞の制御アルゴリズムの解明

研究代表者
武内 秀憲(名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所)

被子植物が受精を達成するためには、メスの組織「雌しべ」の奥深くにある卵細胞の近傍まで、オスの細胞「花粉管」が先端成長により到達する必要がある。雌しべは植物自身が同種のオスと受精するために構築した内在性の“ジオラマ環境”であり、花粉管は雌しべが整備した道標シグナルに応じて先端成長のスピードや方向を調節する“原生知能”を有している。この原生知能に関わるセンサーとして、花粉管は一群の細胞膜受容体(PRKファミリーの受容体群)を用いているが、どのようなアルゴリズムで花粉管の挙動が制御されているのかは不明である。本研究では、花粉管の先端成長を統合制御するセンサー受容体群の機能および花粉管の道標となる物性的・分子的な特性を解析することで、花粉管が雌しべのジオラマ環境を迷わず進むための仕組みの理解を目指す。また、それを構成的に解析するための雌しべジオラマ環境の人工構築にも挑戦する。本領域の研究者と連携し、花粉管の挙動をモデル化することで、被子植物が陸上で繁栄するために獲得した単細胞性の行動力学の普遍性・独自性を明らかにする。

花器官ジオラマ環境の理解による花粉管細胞の制御アルゴリズムの解明

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