公募研究:令和4年度学術変革領域研究(A)

ジオラマ環境における菌糸体ネットワークの知的行動アルゴリズムの解明

研究代表者
深澤 遊(東北大学大学院農学研究科)

糸状菌類は、細長い細胞が鎖状に連なった「菌糸体」のネットワークを森林の林床に発達させ、有機物の分解、養分や炭素の転流、樹木との共生関係といった重要な役割を果たしています。本研究では研究代表者が近年発見した記憶や決断といった菌糸体ネットワークの知的行動のメカニズムを明らかにします。マイクロコズムにおいて培養した菌糸体に様々な刺激を与え、菌糸体の行動の変化をネットワーク構造の変化として定量化するとともに、バイオイメージングにより菌糸体内部の情報伝達のパターンを可視化します。これにより、菌糸体内部で刺激に関する情報の伝達・共有が行われることで知的行動をとっているのか、それとも情報の伝達は行われず刺激を受けた部位における個別の応答の集積で知的行動が創発しているのか、刺激の種類によるこれらの相対的な重要性を検証します。また、記憶のメカニズムとしてエピジェネティックな遺伝子発現調節の有無を検証します。培養実験から得られた情報の伝達・保持を変数として組み込み、菌糸体行動を説明するエージェントベースシミュレーションモデルを構築します。

ジオラマ環境における菌糸体ネットワークの知的行動アルゴリズムの解明

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