ジオラマ行動力学
Ethological dynamics in diorama environments
Ethological dynamics in diorama environments
文部科学省科学研究費 助成事業 「学術変革領域研究(A)」 ジオラマ環境で覚醒する原生知能を定式化する細胞行動力学
アメーバ運動中の魚類表皮細胞ケラトサイトの細胞体内では、ちょうどラグビーボールの縫い目に沿うように複数配列したストレスファイバが、車輪のように回転している。ストレスファイバは本来、直線的な収縮動作しかしない。本研究の目的はストレスファイバの直線収縮が回転に変換される機構の解明である。様々な人工的な動力機械で直動−回転変換は重要な役割を担っているが、一世紀以上の歴史のあるエンジンでさえ、ピストンの直線運動の回転への変換にはクランクシャフトのような複雑な機構を要する。生物には人工機械に無いやわらかいという特性がある。本研究ではストレスファイバの収縮によりやわらかい細胞質が変形し基質を蹴ることで回転トルクが生じるという仮説を立て、細胞観察と機械モデル製作という生物学・工学的手法を組み合わせて仮説を立証する。本研究の成功は、近年注目を集める生物模倣による移動体のソフトロボットへの応用が期待できる。