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申請資格がある方ならどなたでも出せます。年齢に関係なく、申請書の内容によって採否が決まります。本領域の件数は、34件ですので比較的多いと思います。多くの方の応募を期待しています。 斬新な発想のチャレンジングな研究、地道でコツコツと積み上げる研究、当領域の研究活動を通じて自分の研究の幅を広げようとする研究など、奮ってご応募ください。
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多細胞生物は、文字通り多くの細胞が集まって一つの個体を成しています。それぞれの細胞は、体の中の置かれた状況に応じて活動します。一つの細胞にしてみれば、体内といえども環境です。体内環境は野外環境とは異なる面も多いですが、一方、例えば走性という観点に立てば、二つの環境を必ずしも区別する必要はありません。原生生物のアメーバが野外環境で示す走性と同様に見ることも可能です。このように考えれば、ヒトのがん細胞や免疫細胞は体内環境で走性を示すため、その状況対応能力を原生知能と位置付ける事は十分可能です。本領域では、原生知能を細胞レベルの巧みな環境適応能力と捉えています。
このような考え方で、多細胞生物体内の細胞行動を見据えていく研究は対象になります。走性に限らず、他にも、例えば、繊毛虫のメタクローナル波との類似性から、気道繊毛のメタクローナル波、あるいは、繊毛虫の遊泳や行動に関わる細胞膜電位の変動に関連して、神経細胞における環境や刺激に依存した膜電位の変調なども想定されます。また、受精や交配時には、多細胞生物が精子や遊走子などの単細胞になって行動するので、これらも本領域の研究対象になっています。
Q植物などや真菌類に見られる細胞行動も対象になりますか?
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基本的な考え方は、すでにでた質問(ヒトの内皮細胞やがん細胞なども対象になりますか?)でお答えした通りです。植物体の形態形成時に見られる一つ一つの細胞運動も、みようによっては対象になります。また、コケ、シダ、褐藻などの精子や遊走子の行動は十分対象になり得ます。
Qバクテリアは対象になりますか?
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バクテリアは対象になります。
Q原生知能の範囲がわかりません。ヒトの知能とはどのような関係にありますか?
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当領域でいう「原生知能」とは、「単細胞生物が潜在的に有している根源的な環境適応能力」を意味します。いわゆる「人間知能」とは、違うものとして捉えてください。環境適応能力ですから、単細胞生物にも多かれ少なかれ存在しています。それがどれほどなのか、ジオラマ環境を考案することによって引き出すのが、本領域の狙いの一つです。野外環境は、実験室環境とは大きく異なり変動著しく多様ですから、潜在的な適応能力は高いと思われます。
本領域は、細胞行動の視点から、「知能的なるもの」を捉え直そうとするものですから、比較認知心理学などの観点から人間知能との対比を考察することも期待されます。
Qどれぐらい複雑な環境ならジオラマ環境と言えますか?
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これまであまり検討されてこなかった複雑さであれば、十分にジオラマ環境となり得ます。すでに検討されてきたような環境でも、原生知能という視点で捉え直すこともあり得るかもしれません。複雑さの程度を少しずつ段階的に上げていく場合もあれば、一気に複雑度の高い環境を用意する場合もあるでしょう。野外で直に観察する場合もあるかもしれません。いずれにしても、細胞の潜在的な適応能力を探索することがポイントになります。