公募研究

令和6年度学術変革領域研究(A)(公募研究)

公募要領等、詳細は下記「文部科学省HP」に掲載しています。

■文部科学省:令和6(2024)年度科学研究費助成事業-科研費-(学術変革領域研究(A・B)・特別研究促進費)の公募について
(公募要領、計画調書のダウンロード)

https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/boshu/1394559_00011.htm

令和4年度公募研究について

令和4年度公募研究一覧はこちら

学術変革領域研究(A)の公募研究の内容

ジオラマ環境で覚醒する原生知能を定式化する細胞行動力学

①領域の概要

知能とは、広義には環境への適応能力を意味し、単細胞の原生生物(真核単細胞生物)とて原生的な知能を有している。むしろ数億年にわたる進化の洗練によって、複雑な野外環境でこそ巧みな行動能力を発揮している。この行動能力は、多細胞生物における単細胞性行動(受精時の精子運動、体内環境での細胞運動など)にも引き継がれていると思われる。本研究領域では、単細胞生物が潜在的に有している根源的な環境適応能力を「原生知能」と呼び、その潜在能力を覚醒させるために構築した人工環境を「ジオラマ環境」と名付けている。ジオラマ環境は、例えば、棲息環境の複雑さを模したり、知能テストのために設計されたりするものである。わかりやすい一例は、アメーバ状の粘菌が、ジオラマ環境としての迷路において、最短経路を見出す能力を発揮することである。
このような細胞レベルで発現する根源的な知能のからくりは、細胞運動と環境の連成した動力学方程式によりしばしば定式化できるため、本研究領域では、このような環境連成力学を徹底的に推し進めることによって、原生知能のアルゴリズム(ヒューリスティクス)の解明に挑む。本研究領域の略称名「ジオラマ行動力学」は、「ジオラマ環境を設計して原生知能を覚醒させ、その仕組み(アルゴリズム)を運動方程式で記述する学術」を意味する。計画研究は、ジオラマ行動グループ、ジオラマ制作グループ、徹底力学化グループ、アルゴリズム評価グループの4グループからなり、広範なスケールを俯瞰するために極小スケールである精子の卵子到達運動と極大スケールである赤潮藻類の集積運動を主な対象とし、加えて繊毛虫、藻類等いくつかの生物種における行動も対象とする。公募研究では研究対象を多様な生物種へと広く展開することを期待し、領域内での活発な研究交流を通じて、計画研究と合わせてジオラマ行動力学の確立につなげる。

②公募する内容、公募研究への期待等

様々な生物種における巧みな細胞運動・行動に関する研究を広く募集する。これにより、生物種の垣根を越えた原生知能の行動力学を探究する。計画研究では、先端的な計測機器や技術、高度な力学モデリング手法を有しており、必要に応じて公募研究との共同研究を進められるように備えている。公募研究同士の共同研究や研究交流も大いに期待している。
研究項目A01 においては、ジオラマ環境をはじめ、野外環境、多細胞生物の体内環境、工業環境(バイオリアクタ等)での巧みな細胞行動に関する細胞生物学的及び行動学的な研究を募集する。単細胞性真核生物(原生生物)を主な対象とするが、多細胞生物で見られる単細胞性行動あるいは原核生物の行動も対象とする。研究項目A02 では、ジオラマ環境作成に資する技術や方法に関する研究を募集する。例えば、計測工学やマイクロ工学、細胞行動を高時間・空間解像度で計測する技術や、細胞行動を可視化分析するソフトウェア開発、細胞に複合的な物理刺激を印加する手法の開発、原生生物を野外から採集し培養する方法に関する研究、野外で微生物を観察する顕微鏡システムの開発などである。
研究項目B01 においては、生物物理学系と応用数学系の研究を募集する。細胞行動に関する優れた数理モデルや、高時間・空間解像度のシミュレーションに関する研究提案のみならず、例えば、複数の生物種の相互作用を扱う数理モデルに関する研究や、実験データとの同化を目指すシミュレーション技術、細胞行動を制御する細胞内マシーナリーに関する動力学的研究、などの提案も募集する。研究項目B02 においては、情報科学系、比較認知科学系の公募研究を募集する。ジオラマ環境下の原生知能のアルゴリズムに関する優れた研究提案のみならず、例えば、生物の環境適応や学習・進化に関する研究、比較認知心理学的な原生知能の研究等も募集する。

③公募する研究項目、応募上限額、採択目安件数
研究項目番号研究項目名応募上限額(単年度当たり)採択目安件数
A01ジオラマ環境での巧みな細胞行動に関する研究300 万円20 件
A02ジオラマ環境製作や計測法に関する研究
B01巧みな細胞運動の徹底力学化に関する研究200 万円6 件
B02原生知能のアルゴリズム評価に関する研究

ページトップへ