ジオラマ行動力学
Ethological dynamics in diorama environments
Ethological dynamics in diorama environments
文部科学省科学研究費 助成事業 「学術変革領域研究(A)」 ジオラマ環境で覚醒する原生知能を定式化する細胞行動力学
ジオラマおよびパノラマ環境で有害赤潮藻の日周鉛直運動を調査している紫加田と、卵に向かって方向変換する精子の鞭毛運動を研究している柴で構成されています。必要に応じて公募研究を含めた他班に実験データを供給する役割を担います。
ジオラマ・パノラマ環境下における有害赤潮藻の集積アルゴリズムの解明
海洋において微細藻の大増殖と集積によって形成される赤潮は、水産業などに多大な悪影響を及ぼします。本研究では、赤潮被害軽減に必要となる精緻な発生予測技術の開発に向けて、現在ブラックボックスとなっている赤潮藻の集積過程について、生物学的要因と物理的要因の両面からアプローチし、解明します。室内における赤潮藻の培養実験により、運動パラメータ(移動速度など)と生理パラメータ(光合成活性など)から成る日周鉛直移動アルゴリズムを構築します。また、海洋物理モデルに日周鉛直移動アルゴリズムを組み込んだ赤潮動態モデルを構築します。さらに、大量に蓄積されたあるいは新たに取得する実環境データを用いて、赤潮動態モデルを検証します。
実環境中(八代海)で赤潮原因渦鞭毛藻Karenia mikimotoi(写真)は規則正しい日周鉛直移動を示し、
昼間光合成に最適な光強度の深度層に集積する。
赤潮原因ラフィド藻Chattonella antiquaは青色光から逃げるが、緑~橙色の光が混じると、その逃避行動が消失する。
この行動の生理生態学的意義は不明。
水産研究・教育機構水産技術研究所 主任研究員
紫加田 知幸
2009年九州大学大学院生物資源環境科学府修了(博士(農学))
熊本県立大学研究室助手、日本学術振興会特別研究員(PD)、水産研究・教育機構任期付研究員、研究員を経て現職
専門は海産微細藻類の生理生態学