ジオラマ行動力学
Ethological dynamics in diorama environments
Ethological dynamics in diorama environments
文部科学省科学研究費 助成事業 「学術変革領域研究(A)」 ジオラマ環境で覚醒する原生知能を定式化する細胞行動力学
徹底力学化班(B01)は、繊毛虫の行動アルゴリズムなどを解明している石川と、精子の走流性などの数理モデルを構築している石本で構成されます。生物物理学と応用数学の手法を用い、さまざまな微生物の応答や細胞間連携、細胞と環境の相互作用を徹底的に力学化します。
微細藻の形態形成と生殖・生態・進化に関する環境連成力学モデルの構築
単細胞にとっての力学的な周囲環境は「流体」であり、様々な流れが周囲に存在します。特にこれらの環境適応能力を理解し活用するためには、流体力学の正確な理解が必要となります。さらに、実際の微生物はそのnmスケールの細胞小構造が、個体スケールの流体現象や運動に影響を与える一方で、赤潮のような数kmにも及ぶ微生物の多様で複雑な分布ダイナミクスを引き起こしています。また、時間的にも細胞の環境適応能力は、世代を超えて引き継がれていきます。このように、原生生物の行動力学は本質的に時空間マルチスケールの力学現象であり、本研究では微細藻を中心にマルチスケールのジオラマ環境を記述する数理モデルの構築を目指します。
具体的には、細胞形状及び細胞殻微細構造のパターン形成の数理モデル、細胞の形状と流体中の輸送機能に関する実験、微細藻の生殖に関わる力学現象の数理モデル、乱流等の環境中の生態と形態・運動の進化の理論の各課題に取り組みます。
班内で連携をとりつつ、領域内では様々細胞のジオラマ行動の「力学化」を支える理論・解析手法を提供し、アルゴリズム検証とジオラマ実験へのフィードバックを行います。このように領域全体における徹底力学化のインフラ的役割を担います。
精子集団の作り出す流れのシミュレーション
京都大学数理解析研究所
准教授 石本 健太
2015年京都大学大学院理学研究科修了(博士(理学))
京都大学白眉センター特定助教、東京大学大学院数理科学研究科特任助教を経て現職
専門は応用数学、流体力学、数理生物学
京都大学
数理解析研究所
特定助教 蛭田 佳樹
京都大学
数理解析研究所
特定助教 安田 健人