ジオラマ行動力学
Ethological dynamics in diorama environments
Ethological dynamics in diorama environments
文部科学省科学研究費 助成事業 「学術変革領域研究(A)」 ジオラマ環境で覚醒する原生知能を定式化する細胞行動力学
粘菌はアメーバ状の大きな単細胞生物である。構成が単純であるにも関わらず、迷路を解いたり、慣れ・連想記憶のような学習ができるなど、原始的ではあるが「知」といって良い現象が次々発見されている。その細胞の大きさから、脳や神経系の代わりに細胞の隅々に原形質を運搬する輸送管ネットワークを発達させた。本研究では、粘菌のような単純な構成要素から成るシステムから、記憶や学習などの高度な機能がどのように実現できるのか、その本質を抽出することを目指す。ここでは、粘菌の学習のメカニズムの本質は輸送管ネットワーク構造にあると考える。まず、忌避橋通過実験、空間周期的刺激実験などのジオラマ環境下の行動観察実験を通して、粘菌の記憶、空間の学習の実証を行う。粘菌の学習過程で獲得する輸送管ネッ トワーク構造の変化を観察・定量解析しその機構を探る。