公募研究:令和6年度学術変革領域研究(A)

アメーバ細胞内で回転するストレスファイバのステアリング動力学

研究代表者
岩楯 好昭(山口大学理学部)

アメーバ運動中の魚類表皮細胞ケラトサイトの細胞体内では、ちょうどラグビーボールの縫い目に沿うように複数配列したストレスファイバが、車輪のように回転している。一般的な移動体における車輪の役割は推進力生成と移動方向の制御である。本研究の目的はストレスファイバが車輪として、推進力生成と方向制御のどちらを担っているのかを決定することである。ケラトサイトを含むアメーバ細胞の多くはアクチン重合により仮足が伸長する。本研究では、仮足伸長が推進力を担いストレスファイバの回転が方向制御を担うという仮説を立て、これを立証する。仮足先端で重合するアクチン同様、ストレスファイバもアクチンからなるため、これまでストレスファイバの回転に影響を与えず仮足伸長のみを阻害する方法がなかった。最近、代表者らは仮足伸長のみを停止させる方法を発見した。この方法にストレスファイバの3次元動態観察、基質牽引力測定、機械モデル製作等、生物物理学的手法を組み合わせて、仮説を立証する。本研究は細胞内マシナリー“ストレスファイバ”の動力学を解明する研究であり、その成功は生物模倣による移動体への応用が期待できる。

アメーバ細胞内で回転するストレスファイバのステアリング動力学

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