ジオラマ行動力学

単細胞生物にとって細胞運動は、時空間的に変化する環境での生存に必須な機能である。中でもアメーバ運動は自身を様々に変形させることにより自由度の高い運動を可能にする機構であるが、その自由度ゆえに、多様な環境で変化するアメーバ運動の統一的な理解は進んでいない。本研究では細胞の変形を離散的に定量することで、アメーバ運動を統一的に説明するフレームワークを作成する。このフレームワークは、変形モードの時系列データから重心運動を説明する多項式モデルを構築し、それにより得られた係数を実際の運動パターンと関連付ける。これにより環境ごとに異なる様相を示すアメーバ運動を定量的に比較し、各環境で顕著に表れる変形を同定することによって、細胞の環境適応戦略がどのような細胞内の力学からなるものか考察する。