公募研究:令和4年度学術変革領域研究(A)

繊毛がもつ原生知能としてのサイズ認知機構の解明

研究代表者
野田 直紀(日本大学・医学部・一般教育・医系自然科学(生物学))

みなさん、クシクラゲ(有櫛動物)という生き物をみたり、名前を耳にされたことはあるでしょうか?海、水族館、テレビなどでみたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、これまた、なかなか面白い生き物です。クシクラゲは、名前にクラゲと入っていますが、クラゲとは異なる分類群に属します。進化系統樹の上では原始的な動物ですが、感覚情報処理の中枢部位に平衡器官をもちます。私は、クシクラゲの平衡器官が形成されるとき、カルシウム性の結晶を含む細胞(平衡石細胞)が繊毛の束の上を順に運搬されること、運搬は繊毛側の輸送機構に担われていることを発見しました。さらに、運搬方向が被運搬体のサイズに依存して決定されているようで、平衡石細胞と同等のサイズのものは有意に繊毛束の先端方向に運ばれることも発見しました。このことから、繊毛が自身に接着したもののサイズを認知できる知能を有すると考えられます。この知能に操られる平衡石細胞の行動が適切に起こるために必要な、平衡石細胞の繊毛への接着、繊毛上での細胞運動の仕組みを明らかにして、繊毛がもつサイズ認知機構の解明を目指します。

繊毛がもつ原生知能としてのサイズ認知機構の解明

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